上賀茂神社(かみがもじんじゃ)とは?京都最古級の歴史を持つ賀茂信仰の神社
京都市北区、賀茂川の上流に鎮座する上賀茂神社(かみがもじんじゃ)。
正式名称は、賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)といいます。
京都でも特に古い歴史を持つ神社の一つで、御祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)です。
境内の北にある神山(こうやま)に賀茂別雷大神が降臨したという伝承を持ち、古くから厄除けや方除け、災難除けなどの神として信仰されてきました。
平安京が造られるよりも前から続く賀茂信仰の中心であり、京都を代表する神社の一つです。
現在は境内全体が世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産となっています。
上賀茂神社の御祭神
上賀茂神社の御祭神は、
賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)
です。
その誕生には、不思議な神話が伝えられています。
賀茂玉依比売命(かもたまよりひめのみこと)が川で身を清めていたところ、上流から丹塗矢(にぬりや)が流れてきました。
玉依比売命はその矢を持ち帰り、大切にしていたところ、やがて御子を授かったといいます。
御子が成長すると、祖父の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)は宴を開き、父と思う神に盃を捧げるよう告げました。
すると御子は、父は天津神であると告げ、盃を天に向かって投げ、屋根を突き抜けて天へ昇ったと伝えられています。
この御子が、後に上賀茂神社の御祭神となる賀茂別雷大神です。
神山に降臨した賀茂別雷大神
天へ昇った御子にもう一度会いたいと願っていた賀茂玉依比売命の夢に、御子が現れます。
そして自分を迎えるために祭りを行うよう告げました。
その言葉に従って祭りを行ったところ、賀茂別雷大神は現在の上賀茂神社の北北西にある神山へ降臨したと伝えられています。
神山は現在も上賀茂神社にとって特別な場所で、山頂には賀茂別雷大神が降臨したとされる磐座があります。
上賀茂神社の信仰は、この神山への信仰と深く結びついているのです。
二つの砂山「立砂」
上賀茂神社を訪れると、細殿の前に美しい円錐形の砂山が二つ並んでいるのが目に入ります。
これが立砂(たてずな)です。
立砂は、賀茂別雷大神が降臨したとされる神山をかたどったものとされています。
左右一対の立砂は上賀茂神社を象徴する風景の一つで、神様を迎える神聖な場所を表しています。
現在でも神社や家の玄関などで見られる「盛り塩」や「清めの砂」の起源の一つとして紹介されることもあります。
京都を守ってきた神社
上賀茂神社は、平安京が造られる以前からこの地で信仰されていました。
平安京遷都後には皇城鎮護の神として朝廷から篤く崇敬され、歴代の天皇や皇族、公家、武家からも信仰を集めていきます。
都に災いが起こらないことを願い、人々の暮らしを守る神社として長い歴史を歩んできました。
御祭神である賀茂別雷大神も、厄除けや方除け、災難除けなどの神として信仰されています。
京都三大祭の一つ「葵祭」
上賀茂神社を代表する祭りが、葵祭(あおいまつり)です。
正式には賀茂祭(かもさい)といい、祇園祭・時代祭と並ぶ京都三大祭の一つとして知られています。
平安時代には、単に「祭」といえば賀茂祭を指すほど重要な祭りでした。
現在の葵祭では、平安時代を思わせる装束をまとった人々の行列が京都御所を出発し、下鴨神社を経て上賀茂神社へ向かいます。
祭りに関わる人々や社殿などを葵の葉で飾ることから、「葵祭」と呼ばれるようになりました。
千年以上にわたって受け継がれてきた、京都を代表する祭りです。
上賀茂神社と下鴨神社の関係
京都には上賀茂神社だけでなく、下鴨神社(しもがもじんじゃ)があります。
二つは名前が似ているだけではありません。
上賀茂神社の御祭神は、
賀茂別雷大神。
下鴨神社では、
賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)
玉依媛命(たまよりひめのみこと)
がお祀りされています。
賀茂別雷大神から見ると、玉依媛命は母、賀茂建角身命は祖父にあたります。
つまり上賀茂神社と下鴨神社は、同じ賀茂氏の信仰につながる神々をお祀りする神社なのです。
二社を合わせて「賀茂社」と呼ばれ、葵祭もこの二つの神社を結ぶ重要な祭りとなっています。
賀茂別雷大神は「雷の神」?
賀茂別雷大神という名前を見ると、やはり気になるのが「雷」という文字です。
雷と深く結びついた神として信仰されてきましたが、「別雷」という神名が具体的に何を意味するのかについては、さまざまな解釈があります。
そのため、単純に「雷を起こす神様」と考えるより、雷をはじめとする自然の大きな力と結びつき、災いを退ける強い力を持つ神として捉えると分かりやすいでしょう。
現在では雷除けのほか、電気産業を守護する神としても信仰されています。
上賀茂神社のご利益
上賀茂神社では、
厄除け
方除け
八方除け
災難除け
雷除け
開運
必勝
電気産業守護
などの御神徳で信仰されています。
特に厄除けや方除けの信仰が篤く、災いを遠ざけ、平穏に暮らせるよう願う人々が全国から参拝しています。
世界遺産となった上賀茂神社
上賀茂神社の境内には、長い歴史を伝える数多くの建造物が残されています。
本殿と権殿は国宝に指定され、そのほかにも多くの社殿が重要文化財となっています。
1994年には「古都京都の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されました。
しかし上賀茂神社の魅力は、歴史ある建物だけではありません。
神が降臨したとされる神山。
神山を表す立砂。
境内を流れる清らかな水。
そして千年以上にわたって受け継がれてきた葵祭。
上賀茂神社では、古い神話と信仰が現在の境内や祭りの中にも残されています。
京都という都が生まれるよりも前から、この土地で祀られてきた賀茂の神。
上賀茂神社は、京都のさらに古い歴史と、日本人が自然の中に神を感じてきた信仰の姿に触れることのできる神社なのです。
