KANAE

水天宮

厄除け, 家内安全, 子宝・安産
住所: 東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目4−1
ご祭神:天御中主大神(主祭神)/安徳天皇/建礼門院/二位の尼
公式サイト:https://www.suitengu.or.jp/
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水天宮|新しい命の誕生を見守る、安産・子授けの神社

東京都中央区、日本橋蛎殻町に鎮座する水天宮。

東京で「安産祈願」と聞いて、真っ先にこの神社を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

妊娠中の無事と安産を願う人、子どもを授かりたいと願う人、そして生まれた子どもの健やかな成長を願う家族。

水天宮は、新しい命の誕生と成長に寄り添う神社として、江戸時代から多くの人々の信仰を集めてきました。

特に有名なのが「戌の日」の安産祈願です。

十二日に一度巡ってくる戌の日には、多くの妊婦さんやその家族が水天宮を訪れます。

では、なぜ水天宮はこれほどまでに安産・子授けの神社として知られるようになったのでしょうか。

水天宮の御祭神

水天宮には、四柱の神様がお祀りされています。

天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)

安徳天皇(あんとくてんのう)

建礼門院(けんれいもんいん)

二位の尼(にいのあま)

です。

なかでも主祭神としてお祀りされているのが、天御中主大神です。

天御中主大神とは?

天御中主大神は、『古事記』の冒頭に登場する非常に古い神様です。

天地が初めて開かれたとき、高天原に最初に現れた神の一柱とされています。

伊邪那岐命や伊邪那美命、天照大御神が登場するよりも前。

まだ日本の国土が生み出される以前の、まさに世界の始まりに現れる神様です。

水天宮では、この天御中主大神を安産・子授けなどに広大な御神徳をあらわす神様としてお祀りしています。

命が生まれ、育ち、新しい家族へとつながっていく。

水天宮が安産や子授けを願う人々から篤く信仰されている背景には、この「命を生み、育む」という信仰があります。

水天宮と平家の物語

水天宮には、天御中主大神だけでなく、安徳天皇・建礼門院・二位の尼もお祀りされています。

ここには平家の歴史が深く関係しています。

安徳天皇は高倉天皇と建礼門院の皇子として生まれ、幼くして第81代天皇となりました。

しかし源平合戦の末、寿永4年(1185年)の壇ノ浦の戦いで平家は敗北。

幼い安徳天皇は、祖母である二位の尼に抱かれて海へ身を投じたと伝えられています。

建礼門院は安徳天皇の母。

二位の尼は平清盛の正室であり、安徳天皇の祖母にあたります。

水天宮には、この三人も神様としてお祀りされているのです。

安産や子授けで知られる明るい印象の水天宮ですが、その信仰の背景をたどっていくと、日本史の大きな転換点となった平家滅亡の物語にもつながっています。

東京の水天宮は、もともと九州からやってきた

現在の水天宮は東京を代表する神社の一つですが、その信仰の発祥は東京ではありません。

水天宮の発祥地は、現在の福岡県久留米市です。

江戸時代の文政元年(1818年)、久留米藩第9代藩主・有馬頼徳が、江戸・三田赤羽にあった久留米藩上屋敷へ水天宮を分祀しました。

これが東京の水天宮の始まりです。

ところが、当初の水天宮は大名屋敷の中。

一般の人が自由に参拝できる神社ではありませんでした。

それでも水天宮への信仰は非常に篤く、なんと屋敷の外から塀越しに賽銭を投げ入れて参拝する人まで現れたといいます。

そこで藩主は毎月5日に屋敷の門を開き、人々の参拝を許しました。

江戸の人々の間では、有馬家の名と「情け深い」を掛けた「なさけありまの水天宮」という洒落まで流行したと伝えられています。

現在の水天宮が多くの人で賑わう姿からは想像しにくいですが、かつては「どうしてもお参りしたい」と人々が塀の外から願いを届けていた神社だったのです。

なぜ「戌の日」に安産祈願をするの?

水天宮といえば有名なのが、戌の日の安産祈願です。

戌の日は十二支によって十二日に一度巡ってきます。

犬は比較的お産が軽く、一度に多くの子を産むことから、古くから安産や子宝の象徴として親しまれてきました。

そのため妊娠5か月ごろの戌の日に腹帯を巻き、母子の健康と安産を願う風習が広まりました。

現在でも戌の日になると、水天宮には安産を願う多くの参拝者が訪れます。

水天宮の「御子守帯」

水天宮の安産信仰を象徴するものの一つが、腹帯です。

水天宮では「御子守帯(みすずおび)」と呼ばれる晒の腹帯が安産御守として授与されています。

この腹帯には、興味深い由来があります。

かつて水天宮で参拝者が鈴を鳴らすために使われていた晒の「鈴の緒」。

そのお下がりを妊婦が腹帯として使ったところ安産だったという言い伝えから、人々がその御利益にあやかるようになったとされています。

現在まで続く水天宮の安産信仰には、こうした人々の間で語り継がれてきた物語も残されています。

境内の「子宝いぬ」

境内でぜひ見ておきたいのが「子宝いぬ」です。

母犬が子犬を優しく見つめる姿をした像で、その周囲には十二支が並んでいます。

自分の干支を撫でることで、安産・子授け・子どもの無事成長などの御神徳を授かると伝えられています。

親犬と子犬が寄り添う姿そのものが、水天宮の「新しい命を見守る」という信仰を象徴しているようにも見えます。

水天宮のご利益

水天宮で特に知られているのが、

安産

子授け

子どもの無事成長

です。

また現在の水天宮では、初宮詣や七五三、厄除けなどの祈祷も行われています。

その中でもやはり、水天宮を象徴する願いは「命」に関わるもの。

子どもを授かりたい。

お腹の子が無事に生まれてほしい。

生まれた子どもが健やかに育ってほしい。

そんな人生の大きな節目に、多くの人が水天宮を訪れてきました。

子どもが生まれるということは、一人の新しい命が誕生するだけではありません。

夫婦が父と母になり、その両親が祖父母になり、新しい家族のつながりが生まれていきます。

江戸時代から現在まで、数え切れないほどの家族が新しい命の無事を願ってきた水天宮。

水天宮とは、安産だけではなく、子を授かることから誕生、そして成長まで、命がつながっていく時間を見守ってきた神社なのです。